図面は設計者の意図を製造側へ伝えるためのツールです。
そのため、普段話す言語と同様に図面にも決まった書き方があります。今回はその中でも一番の基礎である「第三角法」について解説していきます。
これをしらなければ、図面からその製品がどんな形状をしているのか読み解くこともできません。
これから機械設計エンジニアを目指す方にとっては、必ず習得しておきたい考え方の一つでありかなりの重要項目です。この記事を参考にしっかりと「第三角法」について理解していきましょう。
第三角法ってなに?
第三角法とは、図面を書く際に使用する投影法の一つです。
実際には第三角法だけではなく、図面の書き方としては第一角法から第四角法まで書き方があります。現在世界各国で採用されているのは、「第一角法」と「第三角法」の2つです。
第二角法と第四角法は、図面がまぎらわしくなるため実際に使われることはありません。僕も図面を書く時に使ったことは一度もないので、言葉のみ覚えておけばOKです。
では第三角法って実際にはどう書くんでしょうか。例題を下に記載してみます。
各面の名称と位置は上図のような形になります。この図を展開する下図のようなイメージとなります。
第三角法は以上のような図の配置で図面を書いていきます。第一角法の場合、上から見た図(F)が下に左から見た図(C)が右に置かれますので、それぞれの図と形状を照合するときがとても大変です。
そのためJISでは、”投影法(図面を書く時)は、第三角法による”と定められており、必要がない限り第一角法は使わないので、とりあえず第三角法を覚えておきましょう。
投影法の記載
図面には、図面を書く時に使用した投影法が分かるように記号を書く必要があります。下図のような記号を図面の中に書いておきます。
上記のような記号を図面の右下にある表題欄の中、あるいはその近くに明記しておきます。この記号を書いておくことで図面がどの投影法を使用して書いているのか理解することができます。
矢示法
既に記載した通り、図面は特に必要がない限り第三角法で書いていきます。
でも、大きい製品をA3やA4に書かなければいけない場合に用紙サイズの都合で正しい位置に図を配置できない場合があります。
そんな時に使用するのが「矢示法」です。
矢示法とは、矢印と記号を用いて正面図や側面図を任意の位置に配置することができる図面の書き方であり、下図のような形で書いていきます。
このような感じで矢示法では、正面図以外の各図は方向を示す矢印と識別のための文字を記入して相互関係を指示して図面を書いていきます。
作図作業に関する注意事項
作図を行う時には、下記に注意しながら作図を行いましょう。
- 主投影図(=正面図)として記載する面の選び方
- 主投影図の数
- 使用する線種
主投影図(=正面図)として記載する面の選び方
JIS B0001では、寸法記入の原則を規定しており、その中に「寸法はできる限り主投影図(=正面図)に記入する」といったものがあります。
一般的には、組み立図や部品図は以下のような基準で正面図を選択しています。
組立図:製品の機能を最も表している面
部品図:一番加工量が多く、主たる加工方法をもっとも表している面
主投影図の数
図面は図をできるだけ簡単に最小限の図だけにして図面を書いていきます。
1個の図で表せるものは1個の図により、2個の図が必要なものは2個の図で表します。
形状が複雑な製品や部品は、左または右の側面図,平面図,下面図などを必要に応じて追加します。
使用する線種
正しく相手に伝わる図面を書くためには使用する線種にも注意する必要があります。
なるべく破線を使用せず、できるだけ実線(みえる線)で表してください。
まとめ
今回は図面を書く基本、正面図について書き方をご紹介しました。
図面に製品の図を書くだけでも様々なルールや基準が取り決められています。
記載している例題の他にも世の中には様々な形状のものがありますので、手に取って正面図と図の向きの選択の経験を積み重ねて製作者側にとってなるべく見やすい図面を書く力を高めていきましょう。
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