寸法記入を行う時の考え方
図面に寸法を記入する際に意識することは一つだと考えています。
それは、「設計の意図が伝わるよう寸法を記入する」ということです。
図面はたくさんの人、関係者が読みます。外注業者や製造担当、検査担当など様々な人が読むからこそ人それぞれで理解に違いが出てしまうと製品の品質に影響を及ぼしてしまうため、しっかりと意図や目的が伝わるように寸法を記入する必要があります。
図面を書いていると、意外と「あれっ?」って迷ってしまう寸法の入れ方。
再度学生時や新卒時を思いして確認し直してみましょう。
寸法記入のルール
ここからは実際にどのように寸法を記入していけばいいのか例題と一緒に紹介していきます。
①寸法の配置
寸法は可能な限り正面図に集中して記入すること。
これが、図面に寸法を配置する場合に最も基本的なルールです。正面図に集中して寸法を記入することで読み手が必要な寸法を探す手間を省くことができるからです。
②重複(2重)寸法の禁止
一枚の図面の中に同じ部位を示す寸法を重複して入れてはいけません。
どの寸法を重要視しているのか設計の意図が作業者に伝わりにくくなってしまうからです。
意図や目的をもって同じ寸法を一枚の図面内に入れる場合は、()カッコの中に寸法を記載して図面内に配置するようにしましょう。
()寸法とは、参考寸法を意味します。
参考寸法とは名の通り参考として図面に記載する寸法です。作業者が周囲の寸法を確認して対象寸法を算出する必要がないよう、または、公差管理を行うと矛盾が生じてしまう寸法に対して使用します。
③寸法線と寸法が重ならないようにする
寸法を図面内に記載する際は、寸法と寸法線が重ならないよう寸法記載しましょう。
理由は単純です。寸法が見ずらくなるからです。
図面を見る人が見やすいよう図面を書く方が作業もしやすいので、意識して図面を作成しましょう。
④基準点(原点)を決めて寸法を入れる
寸法は基準となる点(原点)を意識して記入していきましょう。
基準となる点は、加工の原点や部品/製品としての原点などが基準となります。
一般的には、上図赤丸部の左下や左上が原点となることが多いです。
その他にも月に何万台といった大量生産を行う場合、専用の製造ラインを設置することも多く、加工時にチャック(固定)を行う面や穴を基準として寸法を記入することもあります。
しっかりと基準点を設けなければ、一般公差を適用した際に公差の値が異なるため製品を組立て時にしっかりと組立てることができないなど不具合が生じてしまうキケンもありますので、意識して寸法を記入しなければいけません。
⑤記入する寸法は可能な限り一ヶ所にまとめて書く
寸法は可能な限り一ヶ所にまとめて書きましょう。
上図の場合、正面図の左側/上側に寸法をまとめています。なぜこのような書き方をするかというと読み手側が寸法を探す手間を省くためにまとめて書いています。
まとめ
図面を書く時に基本的な寸法の記入ルールを紹介してきました。
まとめるとこんな感じです。
①寸法の配置:出来る限り正面図に配置しよう
②重複(2重)寸法の禁止
③寸法線と寸法が重ならないようにする
④基準点(原点)を決めて寸法を入れる
⑤記入する寸法は可能な限り一ヶ所にまとめて書く
どれも学生や新卒時に習うような事ばかりですが、意外と守れていない図面を良く見かけます。
企業毎に図面の書き方が違っていたりしますので、それに慣れてしまうと何が正しかったのか分からなくなってしまうこともありますので、今一度初心に帰るのも必要なのかもしれません。
良ければ参考にしてみて下さい。
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